前回、キメが細かい肌について記事を投稿させて頂きましたが、
今回のテーマは『潤いのある肌』です。
『キメが細かい肌』以外にも、美肌を表す表現で、『潤いのある肌』という言葉が使用されますよね。
では一体、『潤いのある肌』とは具体的にどんなお肌なのでしょうか??
肌の潤いは、水分量によって決まる
『潤いのある肌』とはずばり、肌にどれだけ水分量を含んでいるかによって決まります。
健康的な肌は、肌の一番外側にある角質層に20~30%の水分量を含み、皮膚の大部分を占める真皮にも60~80%の水分量を含んでいます。
これに対し、肌の角質層に40~50%の水分量を含んでいる状態が理想的な肌といわれています。
上記のように、肌に充分な水分量が含まれていると、みずみずしく、モチっとした弾力のある肌を維持することが出来るのです。
角質層が水分を保持する仕組みは?
肌の角質層に充分な水分量を含ませるには、その水分量を保持するための保湿機能が必要です。
角質層には、この保湿機能を作用させる重要な保湿因子が存在しています。
保湿因子その1:細胞間脂質(さいぼうかんししつ)
肌の一番外側にある角質層はわずか約 0.02 ㎜の厚さで、角質細胞によって構成されています。
さらに、角質細胞の間には、細胞間脂質(さいぼうかんししつ)という脂質があり、何層にも規則正しく重なって並んでいる角質細胞の隙間を補完するように、細胞間脂質が存在しています。
この細胞間脂質が、角質細胞と角質細胞の隙間を埋めることによって、外部からの刺激や、体内の水分を保持してくれるバリアの役目をしてくれています。
また、細胞間脂質は『セラミド』と呼ばれる脂質によって大部分を構成されており、この『セラミド』は脂質にも関わらず、その化学構造上とても水と馴染みやすく、水分子を挟み込むように角質層を構成しています。(脂質二重層状構造:ラメラ構造)
このように水分層と細胞間脂質層が交互に存在することで保湿性が高まり、水分を保持することができるのです。
なんと、角質層の水分量の80%は、この細胞間脂質が保っています。
保湿因子その2:皮脂膜と皮膚常在菌
私たちの肌は、薄さは0.5ミクロン(1/2000ミリ)程の皮脂膜という天然の油分によって覆われています。
皮脂膜は、毛穴の皮脂腺から分泌される皮脂と、汗腺から出る汗の成分が、表皮脂質(ターンオーバーによって垢として剥がれおちる角質細胞と、その中に含まれる天然保湿因子や角質細胞間脂質を指す)に含まれるコレステロールやリン脂質などによって乳化され、クリーム状に混ざることで出来る天然の保護クリームです。
この皮脂膜が肌の表面を覆うことで、肌内部の水分蒸発を防いでいるのです。
他にも皮脂膜は、その油分で肌をなめらかにしてくる効果もあり、外部からの衝撃や刺激を滑らせながら逃がす働きをしています。
また、私たちの肌には『皮膚常在菌』と呼ばれる数百種類の菌が存在しており、その『皮膚常在菌』は大きく「善玉菌」、「日和見菌」、「悪玉菌」に分けられます。
「善玉菌」に代表される表皮ブドウ球菌は皮脂を脂肪酸とグリセリンに分解してくれます。
この脂肪酸と、汗に含まれるアミノ酸によって、皮脂膜は弱酸性となり、細菌の繁殖などを防ぐ抗菌作用を保つことができます。
保湿因子その3:天然保湿因子NMF
天然保湿因子とは、角質層に存在している保湿成分で、NMF(Natural Moisturizing Factor)と略されます。
肌のターンオーバーの過程でタンパク質から生成され、主にアミノ酸を主成分とし、乳酸、塩基類などで構成されています。
このアミノ酸は水分を吸着する性質が強く、空気中の水分や、真皮からの水分を吸湿して角質層に供給します。
この作用により、肌に柔軟性と弾力性が生まれ、潤いを保つことができるのです。
お肌は潤い過ぎてもNG
私たちは、細胞間脂質、皮脂膜と皮膚常在菌、天然保湿因子など、肌に元来備わっている保湿因子によって、
肌の角質層に水分を保っていることが分かりました。
そして、これらの保湿因子が正常に働くようにケアすることで、角質層に40~50%の水分量を保持し、理想の肌に近づくことができるのです。
しかし、なぜ肌の角質層に40~50%の水分量を含んでいる状態が理想的といえるのでしょうか?
水分量が多ければ多いほど、極端にいえば水分量が100%の状態のほうが『潤いのある肌』だとは思いませんか?
実は、お肌は潤い過ぎても良くないのです。
極端に例えるならば、お風呂にはいった後のことを想像すると分かりやすいかもしれません。
お風呂のお湯につかると皮膚(角質層)が水分で飽和(水和)します。
この時、肌は一見潤っているように感じられますが、実は様々な保湿因子が流れ出てし まっているのです。
そのために時間の経過に従って、角質層の水分量は低下してしまい、肌が乾燥してしまうのです。
また、入浴などで角質層が水和 すると、角質細胞間の距離が拡大されるため、水分が逃げやすい状態になってしまうのです。
『潤いのある肌』を保つために
『潤いのある肌』を保つためには、細胞間脂質、皮脂膜、天然保湿因子の3つの保湿因子をしっかりと機能させることが重要です。
お肌を洗顔する際に、皮脂を落としすぎないように気を付けたり、
また、細胞間脂質と天然保湿因子は肌のターンオーバーによって生成されるため、
ターンオーバーが乱れない様に日頃の生活習慣を整えてあげることが大事になります。